菓子職人がカエデの樹液に思いをめぐらせたのには、理由がある。市内では売れ行きも好調な菓子をほかの地域で売ろうとすると、思うような結果がでないのだ。「なんとか、秩父らしさを前面に押し出した菓子を創りたい」。試行錯誤する中で行きついたのが、秩父の山で見慣れたカエデの木だった。樹液を採取することができるか調査することから始まり、採取方法やシロップのつくり方は、カナダまで行って学んだ。すべてが一からの新しい試みの連続。当初は思うように樹液が採れなかったが、なんとか菓子に使える程度には採取できるようになった。
「ここから秩父らしい菓子を創る」。
さらなる挑戦が始まった。